漆 | 室瀬和美 :::: Urushi | Kazumi Murose, Japan

謹賀新年

2010/1/6

寅年。本年もよろしくお願い申し上げます。

今年最初のお知らせは、テレビ番組です。

1月9日(土)22:00〜、テレビ東京系列の「美の巨人たち」では柴田是真を紹介する予定ですが、私も少し協力しました。ぜひご覧下さい。

是真と言えば、東京・日本橋の三井記念美術館で開催中の柴田是真展は、もうご覧になりましたでしょうか。

http://www.mitsui-museum.jp/exhibition_01.html

漆に興味がある方は、是真の名前をご存じかと思いますが、一般の知名度は低く、なかなかまとまった数を観ることができる展覧会はありません。今回はアメリカのエドソンコレクションが初帰国し、それに粒ぞろいの国内所蔵作品も花を添えています(福富太郎コレクションの「富士田子浦蒔絵額」も日本初公開中です)。初ぞろいの作品たちを、三井の美しい展示環境の中で観ることができる、新年に足を運ぶには、もってこいの展覧会です。

東京展は2月7日(日)までですが、その後、京都と富山に巡回するそうです。

http://www.nikkei.co.jp/events/

レアな是真展グッズも販売されています。会場のバナーにも使用されている、かわいいデザインの図録も秀逸。ちなみに平凡社の別冊太陽も柴田是真の特集号が出ていて、こちらも少々手伝いました。本屋で別冊太陽を購入してから番組を観て(笑)、そして展覧会に是非お出かけ下さい。

ご来訪、ありがとうございます。

もうずいぶんご無沙汰しておりましたので、忘れられているのではないかと思っていますが、懲りずに覗いてくださった方、ありがとうございます。

慌ただしい日々の中、今年も終わろうとしていますが、バタバタと講演会が続きますので、お知らせしたいと思います。

●琉球の漆文化と科学

12月5日(土)午後1時〜5時

沖縄県・浦添市立図書館2階視聴覚室

この中で、私は「琉球漆器の技と美」という題目で講演をします。お問い合わせは浦添市美術館まで。

●文化財保存技術2009〜文化財を支える『伝統の名匠』〜

12月13日(日)10時30分〜

埼玉県・大宮ソニックシティ 市民ホール401

これは12日と13日の両日開催されているフォーラム中の選定保存技術関連シンポジウムになるようです。私は13日の10時30分から1時間「漆芸に関する技術と材料・道具」と題して話します。私の講演以外にも様々な催しがあるようですので、選定保存技術にご興味があるかたは、是非ご来場下さい。入場料は無料です。

●〜過去から未来へ〜ときをつなぐ漆

平成22年1月17日(日)午後2時〜

明治大学駿河台キャンパス

1月15日〜16日の3日間、漆に関する講演会や展示が大々的に明治大学で行われますが、最終日に「漆の文化」というテーマで人間国宝の増村紀一郎氏と私が講演します。初日には瀬戸内寂聴さんの記念講演会もあるようです。入場は無料です。

よろしければ、是非お越しください。

いわし

2009/6/9

?とテレビをご覧になって思われた方、すみません。

昨日の和風総本家の放映内容が違っておりました。こちらには連絡がなかったので、私もびっくりしております。鰯の特集でしたね・・・。

果たして放映日はいつなのか、確認でき次第、またブログでお知らせいたします。

スクープ?

2009/6/2

ついに私も週刊誌ネタに・・・。今週木曜日発売の『週刊新潮』に顔写真入りでスッパ抜かれることになりました・・・。

などと意味深なことを書き連らねて、焦らしても仕方ありませんね。

実は『週刊新潮』で「人間国宝の素顔」という連載が始まったとのことで、先日取材を受けたのです。見開き一頁ほどの記事だそうですが、さて、どんな内容に仕上がっているのでしょうか。私の回は、6月4日発売号ということです。是非ご一読下さい。

ちなみに、先回も書きましたが、「和風総本家」の放映日は6月8日の予定です。

長らくブログをさぼっておりました代わりの近況報告にもなるかと思いますので、併せてどうぞご覧下さい。

ずいぶんご無沙汰してしまいました。(いつもじゃないか、とツッコミが入りそうですが)

気に掛けてはいるのですが、なかなか・・・。

さて、今回は近日放映予定の、私が出演するテレビ番組のお知らせです。

テレビ大阪が製作している「和風総本家」という番組をご存じでしょうか。(関東だとテレビ東京で放映しております。)http://www.tv-osaka.co.jp/ip4/wafu/

その番組で人間国宝を特集するということで、先日、取材を受けました。

二回に分けての放映ということで、すでに木竹工の方の放映が終わりました。

私は6月8日の予定だそうです。

さて、どんな風に映っているのやら。よろしかったらご覧下さい。

ところで、最近「猫」の本が流行っていますね。うちのスタッフも、机の上に「癒し」だとかで、養老孟司先生の『うちのまる』の本を置いています。

我が家にもジジとグーという2匹の老猫がいましたが(私の作品のモデルにもなっています。上の“Works”をクリックしてのぞいてみてください。蒔絵丸箱「思う」)、最近、相次いで天国に旅立ちました。不思議なもので、飼い猫がいなくなった直後から、近所の野良猫たちが、庭を自由に闊歩するように。わかるんでしょうか。

左:ジジ 右:グー

左:ジジ 右:グー

一時期は様々な猫たちが庭に入り乱れていましたが、今は3匹の猫に絞られました。なかなかカワイイので、そのうちの一匹をご紹介。スタッフは勝手に「ゾロ」と名付けています。

マスク オブ ゾロ から名付けたらしい

マスク オブ ゾロ から名付けたらしい

仕事ではネズミにお世話になっていますが(蒔絵筆)、今日はちょっと肩の力を抜いて、猫のお話しでした。

先日、ヨン様が盛岡で漆塗りを体験したという話がテレビで報じられていました。この報道の反響はいかほどのものなのでしょうか。少々気になりますね(笑)。というわけで、久しぶりにブログを書いた今日はこんなタイトルに。
さて、「漆塗りの体験」といえば、私は漆芸作品制作と共に、一般の方々に向けて漆芸教室を開いています。始めたきっかけは、新宿の産経学園での漆塗り教室でした。
もう30年以上も昔のことです。当時、鎌倉に伊志良不説先生という方が住んでおられました。先生は私の父の親友で、お付き合いは関東大震災にさかのぼると聞かされています。
父は輪島近郊の合鹿椀で名の知られる柳田村で生まれました。両親が早く他界したため、絵が好きだったこともあり、13歳で輪島の沈金師・蕨武洲の門弟となって修行することにしました。後に京都に出て、京都美術学校の教授で岩村光真という先生について蒔絵と螺鈿技法を学んでいましたが、ちょうどその時期に伊志良先生が関東大震災の被害にあって京都に疎開、父の隣家に住んでいたそうで、それが二人の出会いでした。
その後、伊志良先生は鎌倉に戻り、父は上京して当時東京美術学校の教授であった六角紫水先生の門下生となりました。二人の付き合いは戦後も続き、父が鎌倉・長谷にある伊志良先生のお宅へ通い漆塗りを教え、逆に伊志良先生から鎌倉彫の彫りを教わる、という交流が定期的に続きました。私が子供の頃、訳も分からないまま江ノ電に乗り、大仏の傍にある伊志良先生のお宅に連れられ、父達が鎌倉彫や漆塗りのやりとりをしている間、ひとりで大仏周辺で遊んでいた記憶があります。
さて、話がかなり遠回りしましたが、私が漆の道を志して大学の漆芸科に通うようになった頃、伊志良先生は産経学園で鎌倉彫の漆塗りを教えておられました。当時は漆を素人が塗るなど考えられない時代でしたから、恐らく日本で唯一の漆を教えるカルチャー教室だったと思います。ただ伊志良先生もご高齢で、鎌倉から新宿まで通うのが難しくなり、父に代わってもらえないかとの依頼がありました。父もその頃は60歳を過ぎ、外出もあまり好きではなかったものの、伊志良先生のお願いということで引き受けたのでした。しかし1年ほど教えた頃、転倒して骨折。急遽、私がピンチヒッターとして教室に出向くことになりました。その時私は24歳くらいだったかと思います。生徒は私の親ほどの世代の方ばかりでしたが、楽しく漆塗りに勤しむ姿を見て、「漆は一般の人でも充分楽しめる分野なんだ」と初めて感じました。それまでの私はというと、漆芸は専門家だけの特殊な分野と堅く考えていたので、目から鱗が落ちる思いがしました。
父は怪我が治った後も、年齢的に毎週出かけるのは辛いと言って、結局そのまま私が漆教室の先生を続けることになりました。気がつくとそれから30年以上の歳月が経ちました。当時は素人などに漆ができるわけがないとの批判も受けましたが、今となっては多くのカルチャー教室や個人の教室などで開講され、盛んになっています。その始まりが、私も引き受けていた教室だったということは、誰も知らないのではないかな、と思います。
現在では私が育てた人達が先生となって、次の世代の人達を指導しています。漆塗り、蒔絵、鎌倉彫から陶磁器の金継ぎまで、多様な技法を一般の方々が楽しみながら理解し、一時は忘れかけた漆の美しさを再び感じてもらえる場となっています。
興味のある方は、いつでも試してみてください。

秋も深まってきたようですが、日々制作に追われ、季節の移り変わりに鈍感になっています。

なぜか。

来週から個展がはじまるのです。つまり、仕事部屋に缶詰状態・・・。

今日はそのご案内をさせていただきます。

室瀬和美展
会場:西武池袋本店6階 西武アート・フォーラム
会期:10月29日(水)〜11月3日(月・祝)

三連休もありますので、ぜひお越しください。

ただ今、猛烈に追い込みをしておりますので、ヘトヘトなのですが、もう一踏ん張り、がんばります。

できるだけ多くに方に見ていただけると嬉しいです。

直前になってしまいますが、明日(10月11日)のNHK週刊こどもニュースで「伝統工芸」が取り上げられることになりました。そのコーナーで少し出番があります。
ぜひ、見てください。

ご報告

2008/9/24

昨日から第55回日本伝統工芸展東京展が日本橋三越にて始まりました。10月5日(日)まで開催中ですので、関東近隣にお住まいの方はぜひご来場下さい。その後は全国に順次、巡回いたします。

第五十五回 日本伝統工芸展

なお、今週日曜日(28日)のNHK新日曜美術館が伝統工芸展の特集となっており、私もゲスト出演いたしますので、こちらも併せてご覧頂ければ幸いです。

現代の匠(たくみ)—技と美 第55回日本伝統工芸展
(2008年9月28日放送)

さて、もう報道等でご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、二ヶ月程前に文化財審議委員会が開かれ、今年の重要無形文化財保持者(いわゆる人間国宝)認定の答申があり、私は「蒔絵」の分野で認定されることとなりました。

その答申日は、日本橋三越において彫金の人間国宝である増田三男先生を囲んだ展覧会のレセプションが開かれた日と重なっていました。増田三男先生は今年で99歳を迎え(!)、奥様(100歳!!)とご一緒にレセプションに臨んでおられ、その益々元気なお姿に出席者からたくさんの祝福を受けられ、本当に素晴らしい会でした。私も夕方からその会場にいたため、答申結果のテレビでの発表は見ることができませんでした。しかし関係者の方から情報が入り、その場での発表となり、私も思いがけず出席者の方にお祝いいただけることとなりました。

私と増田先生は40歳以上の年齢差となります。蒔絵の人間国宝の分野でも、今年で92歳となる大場松魚先生がご健在であり、改めて、これまで以上に制作に打ち込まなくてはと、心を新たにしました。多くの仕事や制作発表の機会を頂くことは、作家にとっては真にありがたいことです。大先輩のように体の許す限り、これからも漆芸にかかわる活動を続けていきたいと思っています。

去る9月11日(木)、重要無形文化財保持者の認定式が無事執り行われました。不定期便のブログを読んで下さっている方々にご報告いたしますと共に、この場を借りて日頃のご厚情に感謝申し上げたいと思います。

鶴の羽根

2008/9/5

またご無沙汰してしまいました。現在10月の個展に向けて、制作に追われる日々です。

そんなある日、新潟から突然鶴の羽根が4本送られてきました。事前にお電話はいただいていたものの、やはりびっくり。中に入ったお手紙を読ませていただくと、学校に置いてあった剥製の鶴が古くなり、処分することとなったのだとか。拙著「漆の文化—受け継がれる日本の美(角川選書)を読んで下さり、「蒔絵に使用する粉筒は、昔は鶴の羽根の軸を加工して利用していた」という文章を覚えておられたそうで、捨ててしまうのであれば、ということで取りに行ったそうです。しかし、剥製はずっと放置されていたらしく、残念ながら虫が食ってほとんど使い物にならなかったとのこと。ようやく取れた丹頂鶴と真名鶴の羽根を各2本ずつ、計4本がお手紙と共に箱に入っていました。

大型の鳥は当然ながら一枚一枚の羽根も大きく、羽根軸も太く固くなっています。蒔絵用の粉筒は、その付け根部分の、固い部分のみを使うのですが、鶴の羽根は、ほとんど加工しなくても自然のままで「細く、薄く、固く、軽い」といった粉筒としての機能と形を兼ね備えています。

筒の先に使用する金粉の粒子に合わせた目の細かい絹布を張り、元の方から金粉を入れ、指で筒を持ってはじきながら振動を与え、必要な金粉の分量を必要な文様の位置に蒔いていくのです。

したがってその筒は、できるだけ薄く、固く、軽いことが必要で、鶴の羽根軸がそれにぴったりなのです。しかも鳥の羽根軸は、羽根先の方が元々斜めになっているので、金粉を入れるのに最適な形をしているのです。いつ頃から鶴の羽根軸を粉筒として利用してきたのかは定かではありませんが、自然を利用した先人の知恵でしょう。私は父が残してくれた鶴の羽根軸の粉筒を大切に使っています。

蒔絵の仕事をしてから、色々な鳥の羽根軸に目が向きます。例えば孔雀の羽根。これは細く薄すぎて、向いていません。またある時は、知人からペリカンの羽根軸を一本頂きました。ペリカンは鶴よりも大型なので、さすがに鶴よりも羽根軸が太く、充分使用できました。ただ、軸の厚みが鶴よりも薄く、丁寧に取り扱わないと割れる恐れがあります。こうやって色々と使い比べてみると、やはり鶴が一番、という結論に至りました。

しかし、鶴の羽根は今や入手不可能に近く、今回のような機会は特別です。現在蒔絵の技術者は、葦の軸を削って粉筒を作り使用しています。

本当にありがたい出来事でした。送っていただき、心より感謝いたします。