漆 | 室瀬和美 :::: Urushi | Kazumi Murose, Japan

ブータン旅行(その1)

2007/4/17

よく観光地に行くと見かける「××に行ってきました」というお土産ではありませんが、「ブータンに行ってきました」。今回から数回に分けて、土産話にブータン旅行記を綴ろうと思います。

ブータンという国はインドと中国に挟まれた、ヒマラヤ山脈の麓に位置する小さな王国です。日本からは直行便はなく、私はバンコク・コルカタ経由でブータンに入りました。なぜブータンに行ったかというと、漆樹が育っている地域の中では最も西に位置する国だからです。

いつも書いていますが、漆樹は日本から朝鮮半島・中国へと広がる東アジア、さらにベトナム・タイ・ミャンマーなどの東南アジア地域にかけての、いわゆるモンスーン気候帯に植生する樹木です。ブータンの一部も同じ気候帯に属しているのですが、ヒマラヤ山脈に近い地域に漆というのは地図で見ているだけでは考えにくいのです。これまで大学の先輩である新海氏よりブータンのことはよく聞かされていましたし、輪島の故・角偉三郎氏や島口氏の短いブータン事情のエッセーも読ませていただきましたが、百聞は一見にしかず、日本から4000km程離れた遠い国・ブータンを訪れることとしました。

かねてから一度尋ねたいと思っていましたが、最近まで鎖国状態になっていた程で、なかなか旅行しにくい国でした。今でも個人での入国は手続きや滞在方法等、難しいことが多いのが現状です。

ブータンで唯一国際便が到着できるのは、標高2200mのパロという町にある空港です。首都はティンプーで、5万人が住む最も大きな町です。パロからティンプーにバスで移動するには、山道を2時間以上走らなければなりません。来年に新国王の戴冠式を控えて、今年中に道路拡張工事を完成させるために大半の道路が工事中で、道は狭く、大小の岩石が転がり、大型ダンプなどとすれ違う時には、谷底に落ちるのではないかという思いでバスに揺られ続けることしばし。我々はなんと4時間近くかかって、ようやくティンプーに到着しました。(つづく)