受賞しました
2007/4/9
この度、(財)日本文化藝術財団から日本文化藝術振興賞を授与されることになり、先日その授賞式が明治記念館で行われました。財団は平成5年から活動が始まり、日本文化藝術振興賞と日本現代藝術振興賞の2部門から成り、それぞれの賞には若手芸術家に対しての奨励賞も設けられている、現代と伝統の両分野の作家に与えられる賞です。財団の現会長は元NHK会長の川口幹夫氏であり、美術・音楽のジャンルを超えて審査、選ばれているとのことで、今年は14回目に当たるそうです。授賞対象者がいない年もあり、審査は厳正に行われているとのこと。その中で選出していただいたのは大変光栄なことです。(詳しくは(財)日本文化藝術財団のHPがありますのでご覧下さい。)
さて、今年の受賞者は日本文化藝術振興賞が私、日本現代藝術振興賞が陶芸家の杉浦公益氏、日本文化藝術奨励賞が大鼓の亀井広忠氏、日本現代芸術奨励賞が作曲家の武智由香氏でした。私達は授賞式会場で初めて顔を合わせましたが、その時に多岐にわたる分野から選ばれたことを実感しました。しかし顔合わせの部屋でお話ししていると、それぞれ美術・音楽と分野は異なりますが、共に東京藝術大学の先輩後輩で会話が弾みました。
その話の中で、亀井さんが自ら演奏のために持ってきた大鼓の胴を見せてくれました。それを見ると竹に虎の蒔絵が大胆に配されている、見事な桃山時代の蒔絵鼓胴だったのです。
我々専門家が桃山時代の作品と判断するとき、形・素材・蒔絵意匠・蒔絵技法・蒔絵材料・漆の年齢など、分析するポイントが沢山あり、その総合評価で時代が決まってきます。恐らく亀井氏はそのうちの何ポイントかを経験で理解しており、最終的に“感覚”で判断されていると思いますが、その経験から育った感覚が一番重要であると考えます。一般的には単純に意匠のみで決めてしまう方が多いかと思いますが、それには落とし穴があって、もっと時代が下がったものを桃山と判断してしまうことになります。ものの本質を見抜く高い感度は、分野も時代も超えて伝わるのだなと思ったできごとでした。
授賞式後、その鼓胴を使用しての亀井氏と観世栄夫氏との見事な競演は、列席の人々の心を打ちました。まさに新旧の世代、音楽と美術のジャンルに壁のない日本の芸術の高さを味わったひとときでした。

