漆 | 室瀬和美 :::: Urushi | Kazumi Murose, Japan

ブータン旅行(その2)

2007/5/1

ティンプーはブータンの首都だけあって、国の行政機関が集まっています。その建物は「ゾン」と呼ばれるかつての城です。ただ最大の町でありながら、信号機がひとつもありません。唯一中心街の交差点には、警察官が手旗信号で交通整理をしている姿が見られました。

ブータンは国土の90%以上が森林という自然に囲まれた国のため、昔から竹工・木工・紙漉・織物などが盛んです。特に民族衣装は日本の着物に似た「ゴ」と呼ばれる男性衣装、「キラ」と呼ばれる女性の衣装が美しく、政府が着用を奨励しているため、多くの人達がこの衣装を身につけて生活しています。ブータンの人々は着道楽と呼ばれているそうです。色鮮やかな衣装は、強い陽の光に映えて、目に飛び込んできます。衣装の形が決まっている反面、その柄の種類は多く、衣類を売る店の棚はさながら布の見本帳ようです。

織物同様に盛んに作られているのが竹工芸品で、どの町にも売られており、やはりどの家庭にも置かれて使われています。子供達などのお弁当も竹編みで、そのランチボックスを手に何Kmも遠くにある学校へ徒歩で通っています。私が見た中には17〜18世紀のもので、ワインを入れて運ぶ細長い樽のまわりに竹編みの装飾を巻いて漆が塗ってあるものがありましたが、素材を生かした実にすばらしい工芸品でした。工芸品以外でも、竹を編み込んで作った板を塀にした囲いは、日本の竹垣とは異なるものの、竹の利用価値を広げています。極端な例では、周辺国でもよく使われているように、鉄筋モルタルと打ち込む枠を支える柱にも竹を使っているほどで、精度が高いとは考えにくいのですが、あらゆる場所に使われているという意味では、驚くばかりです。