漆 | 室瀬和美 :::: Urushi | Kazumi Murose, Japan

2008/1/29

1月23日は東京では雪が降って寒いと思っていましたが、沖縄ではもう桜が咲いています!というとビックリするかも知れませんが、本当です。

桜と聞くと、ほとんどの人は「染井吉野」を思い浮かべますが、沖縄の桜は「緋寒桜」と言って、例年この時期に咲き始めます。沖縄本島中部には八重山という山があり、1月頃一度冷え込むと、それを合図に咲き始めるのだそうです。花は八重咲きでピンク色が強く、遠目にもとても派手に咲きそろいます。沖縄の人達はこの時期、週末になると八重山に花見に出かけるので、八重山周辺は大渋滞になってしまいます。この緋寒桜の面白いところは、染井吉野と違って散るときに花吹雪にならず、丸ごとボタボタ落ちてしまうことです。いつも頭に描く桜のイメージとは違っていますが、この時期に桜の花見ができるのは楽しいものです。

さて、今沖縄の首里城では正殿に飾られていた「三御飾」と呼ばれる調度品類の復元事業を行っています。皆様ご存じのように、沖縄の首里城は、太平洋戦争の沖縄戦によりすべて焼失してしまいました。残された資料が少ない中、平成4年に正殿を中心として、南殿・北殿という首里城の中核が復元されました。しかし内部やそこに飾られていた調度品は、より資料が少なく、15年経った現在も、少しずつ残された資料を基に復元事業が続けられています。その多くが漆器であるため、私も委員のひとりとしてそのお手伝いをしています。

かつて琉球には、多くの漆工技法が伝えられてきました。これまで調査を続けた結果、蒔絵といわれる技法を除いて、恐らくほとんどの技法が揃っているのではないかと思われます。これは中国や朝鮮半島、あるいは東南アジア諸国との経済的交流が盛んに行われてきた結果かと考えられます。その多くの技法の中でも朱漆塗に沈金による表現、黒漆塗に夜光貝による螺鈿技法が、首里王家の漆工品として多く残されています。

沈金や螺鈿で装飾された漆器類の形態・意匠の検証を続けてきた結果、現在少しずつ先が見えてきました。この事業は、当然首里城正殿内部に飾るのが主なる目的ですが、結果的にはこの事業を通し、現在沖縄に伝えられずに消えてしまった漆工技術を復元することになり、その技術者を育成することにも繋がるのです。

来年にはその第1号が出来上がるかも知れません。大変な事業ですが、その結果を楽しみに、沖縄に通っています。